「ぞうさん」や「やぎさん ゆうびん」などの童謡の作詞者として知られるまど・みちお。「蚊のオナラ」から遙かな宇宙まで……96歳の詩人の眼差しは、あらゆるものに向けられる。一粒の豆も、一匹のノミも、ゾウも、人間も、タンポポも、石けんも、星々も、いのちあるものもないものすべてを同じ重さで謳う。それが、そこに存在することの尊さを、静かに語りかけてくる。その詩は、ほとんどひらがなだけを使った簡単かつ短いものなのに、豊かで、深くて、広がりがあって……。
帯に推薦文を寄せている谷川俊太郎さんも脱帽する素晴らしい詩を未だに書き続けているご本人はといえば、一世紀近くも生きているというのに、とことん謙虚で真摯。「もともと劣等な石頭のところへ、もうろくが加速度的にひどくなってきておりますから」などと言いつつも、「人のマネでもなく、昨日の自分でも、明日の自分でもなく、常に今の自分で書いていかなければ」などとサラリと口にする。
まど・みちおという詩人の人柄が伝わる語りを中心に、代表作と新作、まどさん自身の手になる絵(これがまたいい!)を収録した贅沢な一冊。心がささくれだっているとき、寂しくてたまらないとき、自分がちっぽけで取るに足りない存在に思えて泣きそうなとき、何度も繰り返し読み返すだろう。