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いまファンタジーにできること
 
 

いまファンタジーにできること [単行本]

アーシュラ・K・ル=グウィン , 谷垣 暁美
5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (2件のカスタマーレビュー)
価格: ¥ 2,100 通常配送無料 詳細
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いまファンタジーにできること + ふしぎなふしぎな子どもの物語 なぜ成長を描かなくなったのか? (光文社新書)
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商品の説明

内容紹介

『指輪物語』、『ドリトル先生物語』、『少年キム』『黒馬物語』など名作の読み方と、ファンタジーの可能性を追求する最新評論集。「子どもの本の動物たち」「ピーターラビット再読」など。

内容(「BOOK」データベースより)

ジャングル・ブック、ピーターラビット、ドリトル先生、指輪物語、ゲド戦記から、ハリー・ポッターまで。ファンタジーや児童文学の名作・話題作を読み解きながらその本質に迫る、巨匠の最新評論集。2010年ローカス賞受賞。

登録情報

  • 単行本: 210ページ
  • 出版社: 河出書房新社 (2011/8/20)
  • ISBN-10: 4309205712
  • ISBN-13: 978-4309205717
  • 発売日: 2011/8/20
  • 商品の寸法: 19.2 x 13.4 x 2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (2件のカスタマーレビュー)
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36 人中、34人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By suihou トップ50レビュアー
評論の面白さとは、著者が、自分のぼんやりしていた意見を、ずばり代弁してくれた、と感じる痛快さではないでしょうか。
そういう意味では、ル=グウィンほど胸のすく論者はいません。
著者が、ファンタジーというジャンルについて、世間の通念、偏見、誤解を論破する明快さは、『夜の言葉』の時から変わっていません。

 ただし初期の『夜の言葉』では、集合的無意識の中の神話の元型をとらえるのがファンタジーの本懐だと強調していましたが、『ファンタジーと言葉』ではむしろ、近代小説的な一貫性、具体性、キャラクターの個人性を主張する方向に修正されています。
 本書では、その両者が彼女にとってのファンタジーの両輪であることが改めて整理しなおされています。
 神話的なものは必要であるが、寓意やメッセージに格下げされる危険性があるため、リアリズムの持つ整合性、すなわち「(ファンタジー世界が)現実から離れれば離れるほど、ますます独自の内的一貫性が重要になる」むねが、綺麗にまとめられており、納得しました。『ゲド戦記』の執筆の事情や反響、フェミニズムやエコロジーの流れも著者なりに統括されており、この説を補強しています。

 本書前半では、フィクションはリアリズムしか認めない「モダニズムのリアリスト」に対する、あいかわらずウィッティで痛烈な批判が小気味よいです。トドロフのこきおろしなど、彼女らしい舌鋒が冴え渡ります。

そして今回、特筆すべきは『子どもの本の動物たち』という長い論考でしょう。
さまざまな動物文学を、ファンタジー度の順に取り上げたものですが、『バンビ』の再評価や、『レッドウォール伝説』や『ウォーターシップダウン』など動物ハイファンタジーへの鋭い突っ込みに、ル・グウィンならではの感度が最高に発揮されています。(たとえば後者は、動物の生態を半端に援用しながら、男性優位主義ファンタジーを書こうとしている、という指摘など)

すべての物語は、SFもファンタジーも社会小説もドキュメントもフィクションなのだ、ということを、ル・グウィンはつねにベースにしています。
いつもこのことを、彼女の本を読むと思い出させられます。
善悪の問題も含め、多様な世界、限定されない価値観、現前性だけではなく可能性。透明化している前提にひびを入れ、くつがえすこと。それらを提示するのがファンタジーの使命。
 そういう彼女の姿勢には、文学論以上の共感を覚えます。
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2 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
ル=グウィンはちょっと苦手で小説はあまり読んでないが、これは読みやすい。ファンタジーとは何か?について、はじめてわかった気がする。

ファンタジーには「本物の竜」がでてくる。それは映画の竜とはちがって、本当にあなたを殺すことができる。彼らは宝石をもっていて、竜と格闘すれば、手に入れることができる。それは「知恵」という宝石だ。

知恵は容易には手に入らない。森のなかにはあなたを惑わせる魔術師もいる。

ファンタジーは善と悪の戦いを描くものではない。善と悪の違いがわかる方法を教えるものだ。

アメリカ人は戦闘にとりつかれていて、「人生の戦い」やら「善と悪の戦い」を強調するが、それは常にいんちきな比喩であり、聞こえのよい表現で暴力を是認し、思考を停止させるためのものにすぎない。

つまりは、人はよく生きるためには、ビジネス書ではなく、また教訓話ではなく、ファンタジーを、そしてこの本を読むべきなのである。
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