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彼をめぐる人々の行き来は、一般に小林秀雄との関係、大岡昇平や河上徹太郎との交流などがよく知られているが、本書で出色なのは、むしろ女性たちとの交友である。武原はん、坂本睦子、花園アパート在住のバアのマダムなど、ある種の哲学をもった女たちが登場する。特に、バアのマダムの夜半の奇妙な振る舞いを「これが思想だ」と、世間知らずであった筆者に見せるくだりは、ジイちゃんここにあり、といったとこ!ろである。
芸術新潮に連載されたという、白洲正子による青山二郎の評伝は、このようなエピソードの集成により「何者でもなかった青山二郎」の「何者でもなさ」を、最後の弟子として間近で接した者として、ただそれのみを伝えるために語った秀作である。
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