寂聴流の語りは、穏かに浸透してくる魅力がある。
「怨みに報いるに怨みをもってすれば、永遠に怨みは尽きることなし(法句経)」…終戦後、中国が日本人に対して「怨みに報いるに徳を以てよ」という態度を取ったのです。
「世間の一切のものは虚妄であることを知って、貪りを離れ、怒りや憎悪を離れね迷妄を離れて生きよ(経集)」…聖徳太子も「世間虚仮」と言われ、この世で信じられるものは、「唯仏是真」と諭されました。
「この世は心により動かされ、また、心により悩まされる。ただ心なる一つのものありて、すべてを隷属させるのだ(相応部経典)」…悟りを開くとは、心のコントロールが完全にできるようになることではないでしょうか。
「愛する人と会わないのは苦しい。愛さない人に会うのもまた苦しい(法句経)」…男女の性を伴った愛欲を〈渇愛〉と名づけ、お返しを要求しない無償の愛、神や仏の愛〈慈悲〉です。
「貪ることなく、詐ることなく、渇愛することなく、見せかけで覆うことなく、濁りと迷妄を除き去り、全世界において妄執のないものとなり、犀の角のように、ただ独り歩め(経集)」…犀は性質がおとなしくおだやかであり、独り静かに瞑想するのにふさわしい。