本書は競馬予想の技術書ではありません。しかしながら、日々馬券を買われている全ての競馬ファンに一度目を通してほしい一冊です。自身の名前に優駿牝馬というペンネームを採用するほど競馬を愛する著者ですが、女性らしい『お馬さん可愛い』というノリは一切なく、徹頭徹尾馬券を愛するギャンブラーというノリを貫いています。単勝に数万ぶちこみ玉砕する姿は、我々も見習わなくてはならないかもしれません。おそらく著者は我々よりもはるかに年収は低いだろうと思われ、また、競馬予想の技術においてもほぼ皆無だろうと思われます。しかし、全国の競馬場で一喜一憂、七転八倒している姿は、とても生き生きとして、実に羨ましい限り。自嘲と自責を交えた筆致は、計算された読み手へのサービス精神の現れであり、確かな文章力の土台の上に構成されています。太宰治の面影が見えると言えば、言い過ぎかもしれませんが、この著者の書く小説をぜひ読んでみたい気持ちがしました。しかしながら、著者は病的なまでの競馬熱に侵されており、小説など書くつもりはない様子です。本書で競馬予想の技術は得られませんが、読後小さな勇気は得られるはずです。たまには血統や指数を忘れて、このような肩の力を抜ける本を読むのもいいものですね。おすすめの一冊です。