中原中也30歳、立原道造25歳、八木重吉29歳、三人ともこんな若さで逝ったとはいえ、死後70年を越えてなお心惹かれる詩の数々がここにある。中也60編の中には有名な「北の海」「頑是ない歌」「一つのメルヘン」などが入っている。道造9編の中には「はじめてのものに」「のちのおもいに」の名詩が載せられている。重吉98編の短詩の中には「母をおもう」という注目すべき詩がある。「けしきが/あかるくなってきた/母をつれて/てくてくあるきたくなった/母はきっと/重吉よ重吉よといくどでもはなしかけるであろう」
本書、愛好者の多い三詩人の詩をセレクトして、一冊の文庫詩集に仕上げた。『いのちの詩集』としたタイトルがなかなかいい。薄命の詩人のいまだ朽ちせぬ魂が宿っている。カバーの「文学日和 いのちへの想い」という添えことばも気が利いている。