原題L’ENNEMI INTIME(秘められた敵)
フランス政府は植民地アルジェリアの独立闘争を自国内のテロ事件であると主張し続けていた。
1962年のアルジェリア独立後も政府見解は変わらず、仏国内でアルジェリア独立戦争を語る事はタブーであった。
そのため国際映画祭でイタリア制作の「アルジェの戦い」(戦争では無く独立運動、有名なゼネストを描いた作品。)を上映する際に退場騒ぎまで引き起こした。
しかし1999年10月になってフランス政府はようやく独立戦争があった事実を認めた。
アルジェリアに派兵された元兵士へのインタビューから全てのエピソードが構成されているため、ストーリーが散漫な印象を受けるが、忠実に事実を描こうとする姿勢は評価できる。
ただし、アルジェリア側への聞き取りが無かった分だけフランス寄りの解釈になっているのは、仕方が無い事だが残念である。
本作品は戦争それ自体の真実を描くことが反戦映画になる事を教えてくれる。
この映画の意義はフランス人自身が自国の闇を語った所にある。
P.S.2010/6/3
第63回カンヌ国際映画祭でフランス制作「男たちと神々」DES HOMMES ET DES DIEUX、英語名OF GODS AND MENがグランプリを受賞しました。
最高賞のパルムドールを与えなかったのはフランスの良心なのかジレンマなのか・・・
1990年代のアルジェリア内戦時に起こった実話の映画化で、グザヴィエ・ボーヴォワ監督は”政治を描いたのではなく人間を描いた”と説明しています。
しかし貧しく無知な村人や暴力的なイスラム原理主義者のアルジェリア人に気高いキリスト教修道士のフランス人が被害を被る描き方は、フランスがアルジェリアに対し今なお屈折した感情を抱いている事を思い知らせてくれます。