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いのちの代償 (ポプラ文庫)
 
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いのちの代償 (ポプラ文庫) [新書]

川嶋 康男
5つ星のうち 3.3  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

1962年12月、北海道学芸大学函館分校山岳部のパーティ11名は、冬山合宿に入った大雪山で遭難した。部員10名全員死亡。生還したのはリーダーの野呂幸司だけだった。かたくなに沈黙を通す野呂に非難が浴びせられた。45年の沈黙を破り、遭難事故の全貌がいま明らかにされる。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

川嶋 康男
ノンフィクション作家。北海道生まれ。札幌在住。『大きな手大きな愛』で第56回産経児童出版文化賞JR賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 新書: 343ページ
  • 出版社: ポプラ社 (2009/09)
  • ISBN-10: 459111158X
  • ISBN-13: 978-4591111581
  • 発売日: 2009/09
  • 商品の寸法: 15.2 x 10.6 x 2.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 3.3  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
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34 人中、33人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By umemomosakura トップ1000レビュアー
形式:新書
1962年大晦日に大雪山系で起きた大量遭難事故のあらましと、ただ一人の生還者であるリーダー、野呂幸司氏のその後を書いた本です。

大学生ばかり11人のパーティーのうち10名が亡くなる遭難事故の描写は、壮絶としか形容できません。
たったひとり生還した野呂氏も、両足先を切断することとなりますが、彼はやがて亡くなった仲間の分まで立ち上がり、事業家として成功し、さらには障害者オリンピックで栄冠を手にすることになります。
野呂氏が常人には計り知れない努力をされたことは間違いありませんし、そのバイタリティは素晴らしいと思います。

しかし私は、本書をどうにも素直に受け取れないのです。
それはつまり、本書がたった一人の生き残りである野呂氏のヒーロー譚になってしまっていて、10名もの命が失われたという事実が、いかんせん軽く扱われているように感じてならないからだと思います。

吹雪の山中で起こったことは、生還者の言葉でしか語られません。
強いカリスマ性を持ったリーダーである野呂氏が育て上げた山岳部。
その山岳部初の長期冬山行で、そのリーダーのみが生還したという事実。
彼が語る言葉を主体に構成された本書が、果たしてどれほど客観的かという疑問が、読みながら頭を離れませんでした。

野呂氏という人がなし遂げた功績より、むしろ時間がたっても彼を許すことができなかった遺族がいたという事実のほうが、私の中では強く印象に残っています。
このレビューは参考になりましたか?
32 人中、27人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 100名山 VINE™ メンバー
形式:新書
単行本の「凍れるいのち」を再編集して文庫版にまとめたものです。
平成21年の夏に起きたトムラウシ遭難を機に文庫版出版を進めたようです。
単行本にはない出版後の反響や野呂氏短文が価値を一層高めています。
文庫版なら山の行き帰りの車中でも読めます。

昭和38年の正月に二つの大きな遭難がありました。
一つは薬師岳での13人遭難。
太郎小屋に降り立った朝日新聞社の記者が「太郎小屋に人影なし」と伝えた
愛知大学山岳部の遭難です。
そしてもう一つが、本書が扱うリーダである野呂氏のみが生還し、
部員10人が死亡した遭難です。
1959年を境に遭難に対する報道が厳しくなり始めた時期に当たります。
地元のルポライターが書き、地元の出版社が出版した力作です。
ここに来て語ることも、書くことも波紋を覚悟しての事でしょう。
著者川嶋氏は相当に感情を抑えて書かれたことが窺えます。
本書は表題の通り、野呂氏の生まれ育ったサハリンに始まり、
生還後のリハビリ、教職、セールスマン、会社経営の現在に至るまでを
簡素に記述しています。
ハンディーキャップスキー協会や北海道盲導犬協会が推薦図書とするように
十分な生を突き進まれていることが、理解できます。
ただ私はその野呂氏の生き方に感動するより、遭難死した10人はさることながら
遺体発掘のために卒業を1年間延ばした佐々木典夫氏の生と死に強い衝撃を感じました。
勿論無二の親友であった野呂氏のそれは想像に容易いことです。
これを読者に発見させる川嶋氏は名ガイドといえるでしょう。
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5 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
奇妙な読後感 2012/1/26
形式:新書
「山岳史上最大級の遭難事故の全貌!」というサブタイトルからすると読後に違和感が残ります。厳冬期北海道の高山の厳しさや、メンバー11人中10名死亡という悲劇の克明な記録、というよりは生き残ったリーダーにスポットが当たっており、卓越した登山能力を持ち、生還した後にビジネスでも成功を収める同氏の物語になってしまっている感があります。遭難した山岳部員の記述もリーダーから見た「Kは・・・という印象だったな、体力ではSよりKの方が上だったな。」「二人とも優秀な山男に成長して頼もしかったな。」というような、悪く言うと上から目線とも取られかねない表現があって、リーダーは優秀だったから生き残れた、というような誤解(事実はそうだったのでしょうが)を読む側に抱かせてしまう恐れがあります。リーダーだけでなくもっと多くの第三者的視点からの取材、検証、記述が必要だったと思います。後半の彼のビジネス成功談はもっと簡素にした方が良かった。保険の営業マン時代に銀行の支店長に気に入られ、隣に座らせてもらって、来行する顧客から名刺をもらい営業に役立てて売り上げを上げる、などというエピソードは正直いらないと思います。10名の死とは何だったのか、を考えさせられる作品です。
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