私は数年前にベストセラーになった「世界の中心で愛を叫ぶ」のあまりの非現実さと恋愛お手軽さに心底がっかりしてから、「日本で売れる恋愛もの」を全く読む気がしなくなりました。
そんな私ですが、川渕さんの本の大ファンの母の勧めで「いのちのラブレター」を手にとりました。
帯をみて「きっと恋愛至上主義的な内容なんだろうな」と思って読み始めましたが、予想を裏切る小説でした。
自物描写がリアルで、拓也が悩みながらも一生懸命日常を生きていく様子に、仕事や生き方で悩むことが多い私はどっぷり感情移入しながら読みました。
ちょこちょこ出てくる医学的なこともためになるし、特に医学部の解剖実験のところなどリアルなのにおもしろくてぜひみなさんにも読んでもらいたいシーンの一つです。
私はまだ独身ですが、いつ運命の人に会えるかわからないし、もし会っていてもその人が運命の人なのかすぐにわからなくてもいいんだと肯定される感じでした。
恋愛小説としてだけではなく、一人の人間がどのように成長し、歳を重ねていくのかという誰でも通る道を振り返りながら考えさせられる小説です。
最後は号泣してしまいましたが、泣いた後、勇気がでる涙です。
「ただの恋愛小説だけでは物足りない」人達におすすめの一冊です。