村山由佳さんの処女作です。数ある村山さんの作品の中では少し変わったお話です。表紙からは‘癒し’の印象を受けましたが、内容はくじらの親子の南の海への旅を通していのちについて語られています。人間の手によって汚された海で命を削られていくお母さんくじらの姿から人間の業、環境問題について考えるところがありました。
この本はCD付きで、村山由佳さんの‘朗読’が聴けます。しかも作曲・演奏も村山由佳さん自身が手がけたという、熱意のこもった1枚です。目と耳でこのお話を感じて欲しいと思います。物語とは長い時間の中で人から人へと語り継がれてゆくものですが、このCDはまさにその‘語り’を担っていると思います。人それぞれ感じることは多様ですが、この作品に触れることが貴重な体験となったらと思います。
村山由佳さんからのメッセージにあるように、人生の中でたくさん傷ついて、ほんとうの優しさを知った大人の人たちにこそ、読んで頂きたいです。