この人の書くお話は「BL」というよりも「文学」と言ったほうがしっくりくるんじゃないかと思います。
文章の緻密さ、登場人物の心理状態など、読めば読むほどどんどん物語に引き込まれていきます。
かわいさんの作品を読むのはこの「いとし、いとしという心」の二冊が初めてなのですが、衝撃でした。
文章力、情景描写 、設定 etc...自分が今までBL小説を読んできた中で本当に抜きんでている作家さんです。
京言葉がメインのお話を読んだのは初めてで、最初は「ちょっと読みにくいかもな」と思っていたんですが、気づいたら頭の中で滑らかに再生されるぐらい話にのめり込んでしまいました。
まさかの新境地発見でびっくりです。登場人物たちが話す京言葉に面白いくらい萌えてしまいます。
読んだ感想としては、1巻を読んだ後の「これから二人はどうなっていくの!」という不安を見事に吹き飛ばしてくれました。
あの手この手を使ってじわじわと侑央の恋心を見事自覚させ、最後に千秋へ「一緒にいてくれる?」と侑央がつたないながらも好きだと伝えるシーン。
侑央のそんな言葉、態度に対し、笑顔になりきらず、微妙に泣き出しそうに歪んでいる千秋の表情。その心中を察すると涙が止まりません。
今までの人生の中で、兄にいつも先を越され、本当に心から愛しているヒトの心さえ兄に向いていた。絶対に手には入らないだろうと思っていた本当に欲しいヒトがやっと手に入ったという気持ち。
そんな千秋の心情を見事に表しているシーンだと思います。
ただ、個人的にはもう少し侑央が千秋に惹かれていくまでの葛藤をもっとじっくりゆっくり書いてくれたらとは思いましたが、
そこを抜きにしてもこの作品の完成度で星は5個。つけれるならもっと星をつけたいくらです。
本当に良い作品に出会えました。
何回も繰り返し読みたくなるすばらしい作品です。