『金子ゆかり』という名前を知ったのは当時流れていたテレビのCMだった。そこで使用されていたのがアンコール曲、C.アズナブールの“おお、我が人生”である。実際、86年パルコ劇場でステージを初めて観た時にもこの曲はアンコールナンバーだった。それほど、このシャンソニエが大切にしている曲目でもある。今でもくじけそうになった時にこの曲を聴くと“もう一度、やってみようか”と気持ちを奮い立たせることができる。スタンダードとしての“マイ・ウェイ”(こちらも原詞はシャンソン)が人生の黄昏時に聴く曲であるとするならば、“おお、我が人生”は人生を歩きながら聴く「今を生きている自分への応援歌」であると思う。今はもう存在しないが銀座にあったシャンソンのライブ・ハウス『銀巴里』での実況録音は人生としてのシャンソンを謳う歌手、金子ゆかりのステージの模様を十分に伝え余りある。タテノリも良いが時には言葉の余韻に浸ることも至福の時としての音楽を楽しむスタイルではなかろうか。