この本は、日本政策金融公庫の総裁で、元帝人社長の安居祥策氏が、日本経済新聞の連載した「私の履歴書」をまとめ直したものである。
氏の波乱万丈の半生、特に、何回もの出向による様々な経験談は、経営におけるヒントとなるもので、大変参考となる。
しかしながら、それ以上に参考となるのは、第5章以下のはからずも帝人社長となってからの経営改革ではないだろうか。
「集中と選択」、目標は世界3位以上といった戦略のほかに、権限と責任の委譲、取締役会における社外役員の活用、グループ会社社長の取締役起用、事前根回しの禁止、アドバーザリーボードの設置などにより、トップ経営者の独走を防ぐ仕組みを自ら創設したことである。
これは、氏の海外における経験が、裏づけとなっているのであろう。実際に、後継者の選択において、アドバイザリーボードで審議をしてもらったそうである。
日本におけるガバナンス問題について、様々な意見があると思われるが、経営会議や、取締役会を、本当にに役だ立たせるために、何をすべきかという問題に対して、大変良い実例を示していると思う。