過労自殺により、この世の人ではなくなってしまった主人公・野口哲也。
ストーリーは幽霊となった主人公の視点で語られます。
経済・金融小説の大家として知られる著者ですが、
本作は情愛に満ちた家族小説の印象が強いです。
愛する家族の死に際して、生きた証を明らかにしたいと奮闘する妻を
「いつもそばにいるよ」とのタイトル通り、ずっとそばで見守る主人公。
互いに触れ合うこともできない中でも
確かにそこに存在する家族の絆、愛情に心揺さぶられます。
ただの家族小説で終わらずに、
談合問題、名ばかり管理職などの社会問題を取り上げながら、
会社で働くことの意義を問う著者のライフワークとも言えるテーマも健在です。
各所で掲載される著者のインタビュー記事などを読むと、
日常的に家族を大切にしている姿が浮き彫りにされていますが、
そういった家族愛を前面に押し出した新しい一面とも感じ取れる作品。
「いつもそばにいるよ」最後の一節は目頭が熱くなりました。