著者は説明欄にもある通り、警視庁本部や池袋、新宿警察署で1400人以上の中国人犯罪者、参考人の取り調べ等に従事した生粋の現場経験者である。
その著者がまえがきからこう書く。
「はっきり言って、資格をきちんと取って、違法なものも一切携帯せず、違法行為を全く行っていない中国人というのは、かなりの少数派です。
(中略)つまり、私の経験から「普通の中国人」を定義すると、「違法行為をまだしていない、もしくは違法行為をしているがまだ逮捕されていない中国人」という薄気味悪い定義になってしまうのです。」
更に第1章でも
「だから犯罪者だけではなく、普通に日本国内で生活している中国人とも話をしてきたわけです。しかし普通に生活している中国人のその半分は、密航者でした。
(中略)残り半分のほとんどは、不法滞在者、いわゆるオーバーステイで、合法滞在者は断然に少なかったのです。
つまり、私の経験から得た感覚で言うと、正規入国者数と同数の中国人密航者が、飛行機や船で日夜日本に密入国しています。また正規入国者であっても、滞在できる期限が切れてもかまわずにその多くが帰国しません」
この文章だけでも本書にある情報の重大さは推し量れるだろう。衝撃的である。
その後は前著『通訳捜査官』にて紹介された不法滞在者、密入国者の実態や犯罪の手口、取り調べの際の執拗に嘘をつき否認する中国人と通訳捜査官の戦いなどが、よりミクロに、よりコミカルに描写される。
特に犯罪を犯した際の「中国人の言い訳パターン」は前著以上に抱腹絶倒しながら読めた上に大変参考になった。
200ページ程度の薄い新書だが大変読みごたえがある。
本年7月に中国人ビザ発給要件が緩和され、良かれ悪しかれ今後接触が増えるであろう中国人の性質を楽しく、かつ生々しく知るには絶好の書と言える。