私はこの事件については何の予備知識もありませんでした。事件を扱ったノンフィクション作品はよく読みますが、この本は何といっても著者自身が父親の無実を証明するために、実際に裁判を闘ったという当事者ならではのリアルな表現と迫力に圧倒されてしまいました。特に法廷シーンはリアルで、まるで私が傍聴席に座りながら法廷を見ているような錯覚を覚えるほどの臨場感がありました。また、このような取調べが実際に行われているということも衝撃の連続であり怒りを抑えることが出来ませんでした。普段は報じられることがない被告人とされた本人の苦悩や家族の苦しみも驚くほどリアルに描かれていて何度も胸が熱くなり涙があふれてしまいました。この作品は裁判をテーマにした内容ですが、裁判を縦軸にしながら家族の出来事を絡めていく展開など巧みな描写で、久々にノンフィクションの感動を感じることが出来る力作でした。