学習塾職員などを経て、27歳で大韓航空入社、30歳でブリティッシュ・エアウェイズに転職し、勤務の傍ら副業として32歳の時に鉄道前面展望ビデオの販売を始め、49歳でいすみ鉄道の社長公募に応募して採用された鳥塚氏が書いた本です。
鳥塚氏は、社長として、ムーミン列車の運行、物販の拡大、訓練費用自己負担運転士募集などの営業努力で収支を改善し、いすみ鉄道の当面の存続に道筋をつけました。(カバーの紹介文より)
氏は、学習塾職員→航空会社という経歴の持ち主ながらも、実は子どものころからの大の鉄道マニア。小学生のころから一人で鉄道に乗るという、チャレンジ精神豊かな方です。
そもそも50歳を目の前に年収千数百万円を捨て年収700万円の赤字鉄道会社の社長に応募するというところからして、チャレンジ精神そのものです。
本書でも言及されていますが、去年公開された映画「RAILWAYS」は、一流企業で将来を嘱望された中井貴一が辞職して地元へ帰り幼いころの夢を実現して列車の運転手になる物語でしたが、鳥塚社長も、いつかは鉄道の運転手にという幼いころの夢を、数十年を経て、運転手ではないが、社長就任として実現した話です。
鳥越社長の経営収支改善に向けた方策は、利用者の増加中心ではなく、蒸気機関車が吐き出す煙をイメージさせる食用竹炭を使った房総のけむり饅頭、箱が列車をかたどっているトレインおかき、もなか、地産地消のレトルトカレー、房総の里山弁当などの物品販売、ムーミン列車や鉄道マニア垂涎のキハ型のディーゼル車両の購入などのユニークな企画です。
いずれも鉄道マニアならではの発想であり、仕事というのは論理だけでやるものではなく時には公私を混同する必要があることを論証しています。
まだ収支は黒字には転換していないようですが、こうした試みを積み重ねることで近い将来黒字に転換し、全国の地域鉄道活性化の先駆的モデルとなることを期待させます。