「裏切りの放課後」
中学受験を控える安藤麻美は、異常なほど教育熱心なお母さんの手でとある塾に行かされている。麻美のクラスには、テストで最下位だった者をいじめる制度があった。だが麻美には、友情を誓い合った友、矢野塔子がいるから大丈夫。しかし本当に麻美が最下位になってしまった時、塔子は言った。「あんたみたいに頭悪い子は、友達じゃない」と……。前巻「いけにえの教室」は、いじめていた主人公がいじめられるようになる物語だったが、今回は逆。ただのいじめだけでなく、家庭の問題も含めたなかなか深いものだった。麻美が裏切りのループから、自分の意思で抜け出すことができてよかった。
「あやまちの行方」
この単行本で自分が選ぶベストワン。有名な進学校に入学したものの勉強についていけない内田芽衣は、ついテストでカンニングしてしまった。しかしそれをガラの悪い2人組、嶋田と佐野に見られていたために、芽衣は弱みを握られ、万引きの命令やお金の要求を受けるようになってしまう。とうとう手首を切り自殺をはかった芽衣だったがその時、不思議な黒猫『ノア』が現れた……。こちらもただのいじめではなく、ゆすりやシンナー遊び、児童買春、自殺などと様々な問題について深く掘り下げている。謎の存在『ノア』の言葉が心に来る。
「消えない傷跡」
浅居奈央がいじめられている理由。それは彼女の父親が飲酒運転で死亡事故を起こしたから。そこに転校して来た泉川由麻は奈央をいじめからかばい、やがて奈央の良き友となっていく。しかし明らかになる衝撃の事実。由麻は奈央の父親が殺した、被害者夫婦の娘だったのだ! 真実を知った時、由麻は……。何とも残酷な物語。奈央にも由麻にも全く罪はないのだ。そして2人とも、心に深い傷を負っている……。この世で多発する事故・事件の数々。そのニュースの裏に潜む悲しいエピソードだ。
「闇の声」
日下部真子が、屋上から飛び降り自殺した。親友の宮口水名と沙希は、真子が生前いじめにあっていたことを知り、2人で調査を始める。そして発見したのは、誹謗中傷が飛び交う『裏学校サイト』だった。やがてどういう経緯を経てか、水名の個人情報や悪口までもがサイトに書き込まれ始める。助けてくれた永井先生は言った。「犯人はお前の1番身近な人かもしれない」……。犯人は「まさか!」というひとデスよ。今までとは違う、姿の見えないネット上でのいじめの物語だった。
今回は内容の深いものが多かった。親子の絆や親の影響、さらに自殺。どれもこれも現実にありそうなリアルな物語だ。ちなみに全巻以上に目が……大きく……なってる、ね。