対談に短いエッセイが挟まっている、手軽なつくりである。
対談という性格上、いじめにたいする緻密な分析や批判とはなっておらず、会話の流れからの思いつきの言いっぱなしであるのはやむをえないかもしれない。が、最近の若者の犯罪動向等について、ワイドショーと同レベルの体感治安認識をしめしたり、アメリカの状況についても、「貧困大国アメリカ」を読んだあとでは、まともに取り合う気にもならないお粗末な称賛を与えたりしている点は見過ごすことが出来ない。
さらにエッセイ中で、福岡の家庭内殺人事件を日本型いじめの典型とする辛の見解はあまりにも粗雑だ。催眠術にも通じた加害者の心理操作によって引き起こされた事件であるのに、被害者達の性格に起因するものとして捉える論理には強い違和感を感じた。(もちろんその背景として日本社会の構造的問題があることは強調されてはいるが、そういう問題ではないだろう。)
もう少し濃い中身を期待していたのだが、残念ながら期待はずれだ。