「見えない悪意」
突如として始まった、裏学校サイトでの自分に対する書き込み。吉澤歩は友の前では平静を装いつつも、内心追い詰められていた。そんな時、歩は気になる書き込みを見つける。そこから犯人を特定した歩は、彼女を呼び出した。1番の友達だったはずの大葉ほのかを……。五十嵐先生が工夫してるな、と思った点はほのかの表情。歩に自分の気持ちをぶつけ始める瞬間まで、ほのかの目が描かれていないのだ。……確かに「かわいそう」という気持ちを持ってしまうのは仕方ないかもしれないが、それをむやみに口に出すのは危険だろう。
「消えない影」
転校からわずか2カ月後、君島静が謎の窒息死をとげた。事故死とされた事件だったが、その真実の一部を水咲由宇は目撃していた。君島さんがいじめっ子の手で倉庫に連れ込まれる瞬間を。やがてそのいじめっ子・神崎に家族ぐるみでいじめられるようになる由宇。これは単に気に入らないから? それとも口封じ……? いじめ史上最も凶悪な神崎さん、登場。罪を罪とも思わないその心、すでに人間じゃない!
「最後の涙」
園田伊織は、いじめの苦しみから逃れるために、自殺サイトで知り合った3人と自殺を決行することに。しかし「死ねる薬」と偽ってただの睡眠薬を飲ませようとした男がいたため、伊織ともう1人の少女・相澤光希は逃げ出した。光希は伊織に学校を案内させ、屋上にやって来ると、いじめっ子を指差して言った。「下にいるあいつらめがけて飛び降りろ」と……。自殺したい人ほど本当は生きていたいのだ、という光希の言葉が印象深い。
「悲しみの刻印」
幼なじみの花が、通り魔に刺し殺された。それから1週間後、友の死から立ち直った長原真知は、同じく幼なじみの星野月子の様子がおかしいことに気付く。月子は、高橋という少女を不良グループといじめていた。いい子だったはずの月子がなぜ? 問いただす真知に、月子は衝撃の言葉をもって答えた……。数ページにわたって描かれている、月子の狂った理論と瞳に、悲しさのようなものを覚えた。言ってることは正しいのだ、確かに。
「最後の願い」
一応この「いじめ」シリーズの最終話(この後復活するから『一応』なのです)。片倉梢は、いじめられているがいつも笑顔の宝生都和のことを、気がかりに思いつつ助けることができない。しかしクラスで目立ってしまったことから、梢もいじめの標的になってしまう。梢がいじめから解放される方法はただ1つ。命令どおり、宝生さんをいじめること……。ラストにふさわしい物語だったと思う。もし「20歳までしか生きられない」と宣告されたら……自分は自分を保てるだろうか。短いながらも強く生きた宝生さんの姿に感動。
今回はどれもこれも同レベル、というところだろうか。残念ながら強いて選ぶベストワンがない。何というか、ありえない展開が多かった。中学生が、口封じのために同級生を殺害しようとするだろうか、しかもビニール袋で? 人々を自殺から救うという光希は、普段の学校生活はどうしているのか? どうして頭をケガして意識を失った真知が1週間で退院できるのか? 疑問が色々と……。目もさらに大きくなってるし……。