『草月流』の名を知ったのはいつだろう...
たしか、小学校の中学年の頃だったと思う。
通学路にあった家の門の向こう側に見えた、
『草月流』という看板と「勅使河原」の文字。
この名前が読めなくて...
母に読み方を教えてもらったのでよく覚えています。
『草月流』の「勅使河原」が、記憶に刻まれました。
あれから40年以上の時間が過ぎて、この本を手にしました。
ずっと記憶の奥の奥にあった...
『草月流』の「勅使河原」が、鮮やかによみがえりました。
「 絵画や彫刻も空間に変化をもたらす強い力を持つ、...
作者がある思いを持って生み出した作品は、つねに同じ美しさや強さや存在感を見せます。
...では、いけばなはどうでしょうか。
...その空間が何のための場で、どのくらいの広さがあり、どういう意図で花を飾るのか。
まず、そうした目的がはっきりとあります。私が好きな花材で好きなようにいければよい
というものではなく、その場所、その空間に新しい魅力を与える必要がある。...
しかも花は生きていて、その瞬間、瞬間で変わっていく。...
そのとき、そこでしかできないもの。その瞬間的な美を見せる表現方法です。... 」
(PP18-19)
これが、芸術としての『いけばな』のすべてを語っていると思います。
『いけばな』の魅力に「勅使河原家」のエピソードを交えて、お話は続きます。
茜さんは、自らをこう語ります。
「 引っ込み思案で臆病な、個性の出せない子でした 」
...そして続けます。
「 けれども場を与えられ、変化をおそれずに歩み続ければ、
人は大きく変わって羽ばたくことができるのです 」...
お父様は、きっと...
絵画や彫刻にはない、『いけばな』の美しさを思いながら、
『勅使河原茜』という「 花 」を、
『草月流』という「 花器 」にいけて、
『次の時代』という「 時と空間 」に送り出してくれたのではないでしょうか。
...ふとそんなことを思いました。