アラーキーと言えば猥雑な写真を撮るユニークな写真家とういう認識だった。
だが、本書のカバーの母子の写真とテーマである顔に魅せられて購読した。
読んで正解だった。
いい顔はどうやってつくられるか? 軽妙な語り口と少しエッチな言葉に酔わされながら、ある重大な結論にたどり着く。それは本書を読んでいただくとして、アラーキーってとてもピュアな人柄なんだ。
ちょっといいことを言いそうになるとダジャレやエッチな発言で煙に巻くのだが、それは下町特有の照れなんだ、きっと。写真を撮ること、生きることにとても真摯。
アラーキー自身がかかえるからだのガンと闘っているからか、生と死に対して感受性が鋭く、つむぎ出される言葉も読み手のこころをつんつん突いてくる。
これはいい顔について語りながら、ひとつの人生論として昇華している。
現時点で今年最高の1冊。