まず、この本を読み始めた理由から書きたいと思います。
自社に労基の査定が何度か入り、サービス残業が問題となる中、強制退社時間が導入されました。
しかし、個人情報保護、顧客への説明徹底・記録作成等、逆に業務フローは増えていくばかり。
結果として、営業時間が減少する形となり、営業成績が伸び悩むようになりました。
そこで、本来、自身でなくてもできる業務を引き受けなくても済み、時間をコントロールできるようになればと思い、このタイトルに引き寄せられ、読み始めました。
この本に書かれている3つの断り方の結論を、先に挙げると、
'1.明確な理由を一つに絞って断る。
'2.その場で断る。
'3.あらかじめ代案を用意してから断る。
の3点であり、相手の立場を理解しつつ、自分でできることをはっきり示して、その場で態度を示すのが重要、と記載されています。
では、作者がこの結論に至った過程を見ていくことにします。
実は、「断り上手になるになるコツは、断らないことにある」との意見に立脚しています。
すなわち、断らないことを基本にすると、反抗ではなく、相手の要求をクリアしようという発想=お互いが折り合いをつけられるところはどこかを探す、という考えに変わるということです。
重要なことは、時間を自分のものさしで見ているかどうか。
つまり、断った方がいい、とか、断らない方がいい、という問題でないということ。すなわち、自分がどう思われるかではなく、長い目で見て自分がどうなりたいのか、ということになります。
実際、断ることで得られる5つのメリットとして、1:自由な時間が手に入る、2:創造力や集中力が高まる、3:判断力が高まる、4:直観力が研ぎ澄まされる、5:本物の人間関係ができる、と挙げられています。
また、断り上手な人の3つの共通項として、1:自分の責任と能力をきっちり理解している、2:相手の立場になって考えられる、3:なりたい自分がイメージできている、を挙げ、そのまま「仕事のプロ」の条件につながるとしています。
さらに、断り上手は相手の話をよく聞くことのできる人とも指摘しています。
つまり、相手の話を真剣に聞いてこそ、相手に求めているゴールがわかる、そうしてあじめて、自分が責任を持って果たせることは何か、決められた時間の中で、どこまで約束できるかが判断できる、というものです。
そのためには、相手に気持ち良く話してもらえるようにする必要があります。
そこで、オープンクエスチョンを用いたり、時には沈黙を会話の中に挟む、ことも必要です。
個人的に文中で注目すべきと感じたのは、「断るとは、関係を断つことではなく、新たな関係を作るためにいったん立ち止まること」、と定義されている点です。
断ることによって、よりよい仕事や人間関係が生まれる、そんな建設的な断り方ができるようになること。それができるようになると、いい加減な気持ちで付き合おうとする人は減り、理解・尊重して対応してくれる人が自然に増えるというのです。
最終盤に示された3つの結論と、そこに至るまでに書かれている前段の内容が、個人の意見としては100%リンクしているとは思えなかった部分があるのも事実です。
しかしながら、むしろ、前段のプロセスの中にこそ、学ぶべき内容が多かったと思います。
嫌な頼まれごとばかりから脱却したいという方よりは、よりうまく仕事を進めたいと思う方に、読んでいただきたいと感じました。