たいへん楽しんで読んだ。結婚を誓い合う二人が、運命によって引き裂かれ、数々の苦難を乗り越えてめでたくゴールインするという、たったそれだけの話が、これほど読み手を惹きつけてやまない魅力ある物語になっていることに驚く。何が魅力といって、マンゾーニのおおらかで、時としてユーモアを忘れず、時として鬼気迫る冷徹な描写に心底酔った。人間の行動、思考の過程なんかもわかっていることなんだけどマンゾーニの的を得た言及に思わず膝を打ちたくなってしまう。カトリック大国ゆえに、信心が大きく全体を覆っていて、そこらへんに疎いぼくは、あまり入り込めないところもあったが、そんなことはこの大作を評価するうえでなんお影響もない。とにかく、純粋に物語を楽しんだ勧善懲悪な物語は安手に思われるものだが、本書は違う。勧善懲悪でありながら、滋味にあふれ生気に満ちている。是非お読み下さい。