本の題名だけ見ると、今の多くの葬式仏教化した駄目な寺と、活動意識に燃えて活動する熱心な寺の二元論的な、著作に見えるかもしれないが、中身を読むとそのような単純構造を示すことが目的ではないことがわかる。
著者は行政書士として葬祭関連の行政手続きを主に仕事とされているようである。
そのため、一般の人と仏教寺院との間の問題に関わることも多く、そこから問題意識が芽生えて、フィールドワークを行いながら見えてきたものが記載されている。
著者は、確かに駄目なお坊さんというものがいることを隠そうとしない。立場上、隠す必要がないので当然ではある。
しかし、一方で仕事やフィールドワークを通してお坊さんたちとよく話してみると、お坊さん側の言い分にも、ちゃんと説明されれば妥当だと理解できる場合が見受けられるということを説明している。
それとは別に、葬儀に留まらず、より積極的に活動しようとするお坊さん達にもアプローチしていく。
何故、これだけの仏教寺院が日本にひしめいているのに、一般の人に取って寺は遠いものになってしまったのか。
寺側の問題だけでなく、一般の人側の問題にも焦点を当てている。
紋切り型に「葬式仏教だから駄目」という目線を越えた、現実の仏教寺院の現在と向き合う真摯な姿勢が窺える。
フィールドワークとはそのためにやる作業なので、その作業を怠らずにこの本を仕上げた著者の熱意に敬意を表すると共に、この著作はそれ故に、机上の空論に留まらない著者の思いが感じられる。
最近取りざたされる単純な葬式仏教批を越えて、フィールドワークを通して見えてきた日本仏教の現在に、読む側も考えさせられる良書である。