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あゝ野麦峠―ある製糸工女哀史 (角川文庫)
 
 

あゝ野麦峠―ある製糸工女哀史 (角川文庫) [文庫]

山本 茂実
5つ星のうち 4.4  レビューをすべて見る (10件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

出版社/著者からの内容紹介

【ああ、飛騨が見える…】故郷を前に野麦峠で死んだ若き製糸工女みね。富国強兵政策に押しつぶされていった無数の娘たちの哀しい青春を描く、戦後ノンフィクションの名作!(小田切秀雄/中村政則)

登録情報

  • 文庫: 418ページ
  • 出版社: 角川書店 (1977/04)
  • ISBN-10: 4041433010
  • ISBN-13: 978-4041433010
  • 発売日: 1977/04
  • 商品の寸法: 14.8 x 10.6 x 1.8 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.4  レビューをすべて見る (10件のカスタマーレビュー)
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日本の外貨獲得を担い、戦前期の軍需・綿織物・重工業などを支えたのがこの本に描かれている製糸業の工女たち。
飛騨高山から厳しい野麦峠を越えて岡谷に出稼ぎに行き、年末の吹雪の中を命がけで故郷に帰り給金を持ち帰る、
自殺、私生児を産む、検番の厳しい管理、そうした哀歌を生き生きと再生したのがこの本です。

高山の村々を何年もかけて歩き回り、360人もの工女だった人々に聞き取りを行い、所により物語り調で
工女の様子を再現したり、糸ひき唄に注目するなど、オーラルヒストリーの価値を高める名作です。

聞き取りは非常に細部にわたり、統計調査なども詳しく、図表も多く掲載されています。
所により物語的な描写をし、工女への同情を見せるする反面、論理的・冷静に生産者の評価や製糸業の経済的な
分析をし、農村の惨状に比べ「相対的には厳しくない」とするなど絶妙なバランスを保っています。
目を覆う悲惨で痛々しい出来事が多いにも関わらず、工女たちの生き生きした様、歴史を甦らせ、
読み出したら止まらなくなります。この本は一気に読み進めてしまいました。

非常に多くの視点から歴史が再現されています。野麦峠を越える様が一般的に、また具体的に描かれ、
峠の鬼ばばぁの人柄までも伝わってきます。また、キカヤ(工場)での様子、工女たちの背景、山一争議、
製糸工場の経営者、製糸業の分析などあらゆる視点が含まれています。

一日中働き、命がけで峠を越え、結核にかかれば追い出されひた隠しにされ死を待ち、一方で生き生きと糸ひき唄を
歌い、粋で活力にあふれる工女たち、そうした歴史を多大な努力と素晴らしい描写力で細部まで見事に甦らせた著者は
本当にすごい、と思いました。歴史を学ぶ人、読み物として読みたい人など、どんな人も読んで満足を
得られることは保証します。読み物としてもおもしろい。素晴らしい本なのでぜひ読んで欲しいです。

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9 人中、9人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By ny
間違いなく戦後日本で最も大きな影響を与えたノンフィクション。
1968年の刊行以来、250万部超売れ、2度映画化、1度TVドラマ化され、舞台の野麦峠には碑や石像が立ち、歴史教科書に載り、関連する記念館もできた。

執筆にあたり、著者は当時の製糸業の中心地であった信州や飛騨を歩きまわり、元女工など約400人の関係者から話を聞き、明治〜昭和初期の製糸業にまつわる膨大な一次資料を収集し、結果約10年の取材を経て完成させた。日本にもノンフィクションの傑作は数あれど、ここまでの労力が凝縮された作品というのは、ちょっと他には見当たらない。

しかし影響力があまりにも広範であったがゆえに、今では本書の主題はねじ曲げられ過小評価すらされている印象がある。私の学校時代の日本史教師は本書を単に「かわいそうな女工の話」として教えたし、読み始めるまで実際それを信じていた。ちょうど「自動車絶望工場」のような進歩的な中身の本だと、読むのを敬遠させていた。

もちろん当時の女工の苦労は十分に書かれている。しかし一方で「資本家に搾取される労働者」という紋切り型の見方をすることも著者は繰り返し否定している。「従来の女工哀史にいわれるものにもいえることであるが青臭い青年的発想のセンチメンタルはかえって有害である」とまで著者は言い切っている。「ある製糸工女哀史」という副題は正直ミスリーディングな気さえする。

事実、本書では経営的な視点についても多く触れる。富岡製糸場で導入された外国製の高価な製糸設備を、信州の起業家たちはすばやく学び取り、地元の鍛冶屋などと協力し瞬く間に従来品より機能が同等かそれ以上でコストが数十分の1の日本流製糸設備をつくり上げてしまった。このイノベーションは国産製糸の輸出競争力を拡大させる一方で、深刻な労働者不足を生み出し、大量の若い女工たちが近隣の村々からかき集められ日夜働かされることになった。野麦峠での「女工哀史」は、そうした全体的な歯車の中で起こったある悲劇的な一側面であった。

著者の根本的な狙いは、「近代日本を裏から映しだす」ことにあったように思う。
鉄道、道路網などのインフラが整備され華やかさを増す都会、戦艦が続々とつくられ軍事面で頭角をあらわす日本、「表」の姿ばかり語られてきたが、その富を裏で支えた信州・飛騨を中心とする製糸業と、そこで働く人々の生活実態については十分語られていない。そこから、もう一つの日本の姿が浮かび上がらせることができるのではないか。この野心的でスケールの大きいテーマを、本書では見事に描き出すことに成功している。

そもそもの着想のユニークさ、特定の階級に寄り添わず全体を捉えるバランス思考、尋常でない取材量、エピソードの面白さ、それらが高度に混じり合って独自の近代日本像を活写しており、それが「あゝ野麦峠」のノンフィクションとしての価値を不朽のものにしていると思う。
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21 人中、19人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By potz
製糸工場で働いた多くの女工達は、後発国であった日本の近代化を支える富をもたらす立役者であった。彼女たちは冬の吹雪の中も、出身の飛騨から工場のある諏訪まで、野麦峠を越えて往来していた。

厳しい生産競争や懲罰もみられる過酷な労働環境で、入水自殺により無言の抗議を示した女工もみられた。だが、そんな中でも仕事に楽しさを見出し、実績をあげてふるさとにたくさんの収入を持って帰った女工もいた。

本書は、必ずしも女工の悲惨な面ばかりを語るものではない。日本の近代化の原点となった当時の女工の暮らしを、膨大な聞き取り調査に基づいて再現した労作である。そしてその中から伝わってくるのは、毎日を生きぬく庶民の営みの力強さと、尊さであるように思える。

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起業家精神の視点は。
... 続きを読む
投稿日: 2005/3/10 投稿者: "kqcpm040"
考えさせられる本
戦前の日本の重要な輸出品は生糸。この本は、生糸を作っていた少女達の話です。... 続きを読む
投稿日: 2004/6/13 投稿者: 九鬼
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