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高山の村々を何年もかけて歩き回り、360人もの工女だった人々に聞き取りを行い、所により物語り調で
工女の様子を再現したり、糸ひき唄に注目するなど、オーラルヒストリーの価値を高める名作です。
聞き取りは非常に細部にわたり、統計調査なども詳しく、図表も多く掲載されています。
所により物語的な描写をし、工女への同情を見せるする反面、論理的・冷静に生産者の評価や製糸業の経済的な
分析をし、農村の惨状に比べ「相対的には厳しくない」とするなど絶妙なバランスを保っています。
目を覆う悲惨で痛々しい出来事が多いにも関わらず、工女たちの生き生きした様、歴史を甦らせ、
読み出したら止まらなくなります。この本は一気に読み進めてしまいました。
非常に多くの視点から歴史が再現されています。野麦峠を越える様が一般的に、また具体的に描かれ、
峠の鬼ばばぁの人柄までも伝わってきます。また、キカヤ(工場)での様子、工女たちの背景、山一争議、
製糸工場の経営者、製糸業の分析などあらゆる視点が含まれています。
一日中働き、命がけで峠を越え、結核にかかれば追い出されひた隠しにされ死を待ち、一方で生き生きと糸ひき唄を
歌い、粋で活力にあふれる工女たち、そうした歴史を多大な努力と素晴らしい描写力で細部まで見事に甦らせた著者は
本当にすごい、と思いました。歴史を学ぶ人、読み物として読みたい人など、どんな人も読んで満足を
得られることは保証します。読み物としてもおもしろい。素晴らしい本なのでぜひ読んで欲しいです。
厳しい生産競争や懲罰もみられる過酷な労働環境で、入水自殺により無言の抗議を示した女工もみられた。だが、そんな中でも仕事に楽しさを見出し、実績をあげてふるさとにたくさんの収入を持って帰った女工もいた。
本書は、必ずしも女工の悲惨な面ばかりを語るものではない。日本の近代化の原点となった当時の女工の暮らしを、膨大な聞き取り調査に基づいて再現した労作である。そしてその中から伝わってくるのは、毎日を生きぬく庶民の営みの力強さと、尊さであるように思える。
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