「おそろし」の続編。
続編が出版されただけで嬉しい。
前作は心に傷をもつ娘おちかが、
一話語りの百物語の聞き集めを始めることで、
生きるチカラを取り戻していくストーリー。
更に人の心に棲む悪を大きなテーマとしており、
その象徴の屋敷が登場、悪との対決、戦いを描いた、
Sキング的な物語でありました。
今回の「あんじゅう」の舞台は三島屋。前作と同じ。
登場人物もおちか、伊兵衛夫婦、女中、番頭と基本は変わらない。
ただテーマが違う。
前作の「人の心に棲む悪」から、
本作は「愛」がテーマになっているように思う。
メインのエピソードは、
「紫陽花屋敷」と呼ばれる空き屋敷に棲む怪異「くろすけ」。
これは愛情がテーマ。
どこか清々しいストーリー。
新人物往来社のHPで宮部みゆきのインタビューを読むと、
奇数巻は深刻な話、偶数巻は明るい話でいこうと思っている。
「おそろし」と「あんじゅう」の両方を読んでいただくといい感じにカクテルになる。
両方を読んでほしい旨が書かれていた。
なるほど、本書はほろっとする怪談潭の回であった。
だから一貫して優しさが見え隠れするのだ。
一気に読み進められる完成度。
最後まで予想できないストーリー。
新たな登場人物青野利一郎。
文句なく面白い。
次作にも期待したい。