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カルタゴと聞いて、塩野七生の『ハンニバル戦記 ローマ人の物語』などを思い出す方もおられるでしょう。ハンニバルは、カルタゴとローマが戦ったポエニ戦争の時の、カルタゴの将軍でした。
「地中海の女王」と呼ばれたカルタゴは、地中海をめぐる貿易競争で、商売のやり手ギリシアを、次いで当時の絶対的な超大国ローマを負かし、地中海貿易を独占して大いに栄えた通商国家だった。
そのカルタゴは、働くこと以外に何の楽しみも、文化も持たないと、ギリシア、ローマなどの周辺の国から気味悪がられた。
商売の仕方も、「カルタゴの製品に独創性は見られない。たいていはエジプト、あるいはギリシア製品の模倣にとどまっている。が、彼らの功績は、そうした品々を安く、大量に生産し、広く流通させたことにある。」
これが昂じて、ついにローマに、「この国は滅ぼさなければならない。」と、決断せしめた。三次にわたるポエニ戦争の末に、紀元前146年に徹底的に滅ぼされるようになってしまった。
通商で栄えたカルタゴとはどういう国だったのか。それがなぜ滅ぼされたのか、その原因をヨーロッパに飛んで広く取材して追求した物語です。
著者の森本さんは新聞記者のご出身だけあって、じつに読みやすい文章です。最後の、この地に二度と復活しないようにと、徹底的に塩をまかれる場面には、それほどまでかと、痛々しかった。
日本はカルタゴとは違うんだろうか。工業製品のブランドをのぞくと、身に付ける品物に世界中の人がほしがるブランド品はどれだけあるだろうか。
初版の発売当時は、日本はバブル景気でものすごく繁栄していた。発売当時から、カルタゴ=日本、ローマ=アメリカ という図式はあった。
国際貢献。この言葉があったかどうか。この本にもそういう言葉は出てこない。しかし、儲けるだけでなくて、国際貢献の方も大事だよ、といっていた本である。今読み返してみて、著者の指摘の斬新さに感心する。
本書を再読して、やはりと感じ入ったことは、文化なき国は滅びるということだった。通商国家の日本にはかくべつ教訓的である。時をおいて何度も読み返しのきく本です。