クリスマスにこんな美しい本をもらったら嬉しいだろうなと思いつつ読んだ。装丁が素晴らしくて手に取った。
第二次世界大戦中に実在したスズメの物語である。小鳥と暮らすと言っても相手は野鳥。それを考えると、いかにこの物語が数々の奇跡に満ちているのかがわかる。スズメがキップス夫人のことを親と思っていたことは「刷り込み」と考えて間違いないだろうが、それにしても小さなスズメと人間の間にかくも温かい交流が生まれたことに驚嘆した。あるときは夫人を親と慕い、あるときは求愛の対象になり、彼女のピアノに合わせて歌うことを覚え、小さな芸を披露しては戦争に疲れた人々を癒したスズメ。
キップス夫人の細やかな観察眼と洞察力は、スズメの行動や思考の細部に渡っており、彼女がいかにこのスズメを愛していたかがわかる。スズメもまたキップス夫人を絶対の保護者としていかなるときにもそばにいた。12年という驚くべき年月を人間と共に暮らしたスズメの晩年からも、私たちは多くを学ぶことができる。老いて体の自由が効かなくなっても、それを知恵で補い、新しい方法を編み出して環境に順応していくさまには本当に驚かされた。