この作品フレンチ・ノワールのニューウェーブ的に好評価されることが多いですが、決してジャン=ピエール・メルヴィルの「サムライ」やアラン・コルノーの「真夜中の刑事」の再来というほどのものではない。「サムライ」や「真夜中の刑事」には男の美学的なフランス独特の香りが漂っていたが、この作品はどちらかというと警察内の抗争といった面が強く、仁義なき戦い的なリアルさが強い。権力に固執するジェラール・ドパルデューの悪あがきの方がダニエル・オートゥイユの演じる無謀な刑事より惹かれる感じがした。
ストーリー展開もジェラール・ドパルデューが突然狂ったように犯人に乱射し、仲間を死に追いやるくだりや、ダニエル・オートゥイユが殺人の片棒を担いでしまう展開はちょっと無理がある感じがする。ラストのジェラール・ドパルデューとダニエル・オートゥイユの対決も「リスボン特急」のラストのような男と男の体をはった冷徹な対決ではなく、フレンチ・ノワールの美学は味わえない。
とはいえ、ジェラール・ドパルデューとダニエル・オートゥイユの渋い演技は十分満足できるし、突き放したような冷たい映像もフレンチ・ノワールの魅力が漂う。
少なくともハリウッドちっくな派手な強盗団の設定やちょっと無理な展開さえなければもっとフレンチ・ノワールの男の渋みをいかした作品になった感じがする。そんな、惜しい作品だと思う。