『ありすぎる性欲、なさすぎる性欲』の著者ウィリー・パジーニ教授は、イタリアの心理学者。性の問題に悩む人々のカウンセリングを長年にわたって行い、豊富な臨床体験からセックスの問題を幅広く分析している。
本書を手に取ったときには「性欲」という言葉の生々しさに少々抵抗をおぼえたが、性衝動を生の原動力として肯定し、まじめに考察する著者の冷静な語り口に引き込まれ、とまどいはすぐに消え去った。
若い夫婦がセックスレスになるかと思えば、一方でセクハラや小児性愛など反社会的な性の暴走がみられるという極端な状況は、どうやら日本に限ったことではないらしい。著者は現代人の性欲は、過剰と過小の間を揺れ動いていると指摘する。
複雑な現代社会に生きる人間の性は、心理的、社会的、文化的な要因によって強く影響を受けている。本来なら生きるエネルギーとなるべき性欲が、消費欲や物質欲によって弱められたり、ゆがめられたりしているというのだ。
本書に取り上げられたセックスの多様な側面をみると、現代人の性欲がいかにデリケートな状態にあるかを思い知らされる。家庭の問題、幼少時の心の傷、社会的な抑圧、失敗あるいは成功への恐怖、仕事のストレスなど、さまざまな要因が、性衝動の過剰や消失、あるいは偏向を引き起こす。
多様なセックスの問題とその原因をわかりやすく解説し、客観的に把握する知識を提供している本書は、具体的な悩みをもつ人はもちろん、漠然とした性の不満をいだいている人にとっても参考になる。性欲と愛情や年齢との関係、性欲を喚起させる五感への刺激など、興味深く、実生活に役立てることができそうな知識も盛り込まれている。(栗原紀子)
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この本は真面目にそして科学的にそのメカニズムについて触れています。
カウンセラーや精神科医にもお勧めです。
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