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自分的には、この短編集はブコウスキーの才能が凝縮された一つの集大成だと思う。
かなりバラエティー豊富な内容で、「狂った生きもの」はかなりトンだSFちっくな話だし、「日常のやりくり」は彼の持ち味の一つであるスラム街での一家のやり取りの話であり、「極悪人」は彼の自伝的要素が強い。
~禅式結婚式も自伝的要素が強いが(まあ彼の作品は自伝的なものが多いが)話の内容はかなり珍しい。彼の変わった友達の変わった結婚式だが、彼は精一杯やったはずだった。しかし最後はブタ箱で少年に尺八の交渉を持ち掛けられるという散々なものだった。彼が落ち着く家が好きで、外出嫌いなのも分る気がする。
~再会は退院して来た男のその彼女の性生活についての話であるが、この話だけは『間違いなく』日本人にケンかを売っている。まあ忘れよう・・。
(全作をプレビューしたいが、そういう訳にも行かないので、ここで結ぶと)
~この他にもこれでもか、というぐらい性に関して正直だったり、濃くて、ふっとんだ話や幻想的な話が続くが、個人的に一番お勧めなのは「毛布」である。これはしみじみと来る話である。内容は読んでからのお楽しみ・・・。
本作は「町で(以下略)」に比べて、起承転結がキチッとしたお話は少ない印象を受ける。主人公のアバウト酔いどれ度がやや増加しているような…。酔っ払いぐあいやぶっきらぼうな言動が「月と六ペンス/サマセット・モーム」に出てくる画家を彷彿とさせたりして。短編のモチーフはあい変わらず、刑務所服役囚の様子や獣姦乱交SF、父娘のほほえましい愛情や競馬予想、きちがいのお友達や肉体労働者生活、なぜか寄ってくるイヤなやつ、飲酒と詩人の微妙な関係など、多彩でムチャクチャな内容となっている。しかし、読!んで思うのは、どの短編も主人公の男性が困ったちゃんであること。超法規的思考で行動するし、イイ女と見ればヒワイな言葉を投げかけたり、やっちまおうとしたり…。現実にいたらお近づきになりたくないような人(女性の敵?)なのに、なぜか嫌悪感が少ないのは彼が、厚顔無恥で多数決の暴力主義の爛熟したどうしようもない社会からのアウトサイダーであり、著者を思わせる一連の主人公が凡人がうらやむべき天才であるからだろう。感性が鋭すぎるゆえに、酒でそれを鈍らせるしか生きていく術が無かったのではないか。心優しき人は病むしかない、世知辛い世界がやるせない。
訳者のあとがきによれば、ブコウスキーの文体は日本語に訳しようがない言葉で書かれているとか。
(例)「うんちれ!」とか…。も!しも英語ができたなら、原文でも読んでみたい作家の一人である。
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