僕がコミック版で担当させて頂いている水谷修氏の最新作。しかも氏の代表作である「夜回り先生」シリーズの最新作という位置づけでもある。このシリーズは常に具体的な「夜眠れない(眠らない)子ども」たちとのエピソードの強烈さに、しばし読む手を止めて、目をつむってしまうことも多い。事実であるだけに、漫画のストーリーのように都合よくは展開しない。悲惨な結末だったり、途中で途切れてしまうようなエピソードも少なくない。しかし、タイトル「ありがとう」が示すように、本作は嬉しい涙で締め括ってくれるエピソードばかりで、心がポカポカ温かくなる一冊である。宮城県で被災したリストカッターの少女が「先生、ありがと」の一言にまで辿り着く最終章は、氏が、震災後の日本人へのエールとして記した一編だろう。ぜひ読んでほしい一冊。