題名の「あやしい」は、「疑わしい」「インチキ」の意味。
本書には、100近い天守閣が紹介されているが、現存12閣と呼ばれる江戸期の一国一城令、明治の廃城令、それに戦火、そして築城以来の天災や火災を乗り越えたもの以外は、全てが太平洋戦争の後に新たに建造されたもの。
敢えて言えば当然に、ホンモノとは違う部分があり、しかも、その多くは全く違うという事実。
本書では、そうした事実との相違を「あやしい」と表しつつ、全国の天守閣を紹介している。
しかし、そんなフザケタ題名とは異なり、内容は極めて良心的かつ誰にでも役立つ内容となっている。
・ ちょっとマニアック過ぎる感もある相違点の解説。
・ 歴史的経緯から、何故違うのかまで踏み込んだ考察。
・ 現存12閣の紹介や、最も正しい復元天守である大洲城建造経緯の解説など、「あやしくない」天守閣も含めた網羅性。
これまでにも、通り一遍の「名城100選」ガイドや、マニアックな名城解説は、いくらもあったが、
城好きならどこかで身分制度のように扱ってきた天守の建造方法を、敢えて想像天守をメインに取り上げることで、むしろ観光対象としての天守閣という、新たな視点を与えているものとしても高く評価したい。
天守閣への愛を強く深く感じる良書です。