ガブリエル・バンサンの著書と初めて出会ったのは話題の処女作『アンジュール ある犬の物語』でした。嗚呼、何て著者のデッサンは複雑な描写でもなく柔らかなどちらかと言うと線の少ないデッサンなのにこんなにも物語るものがあるのだろうか…そして言葉数が少なくとも、それ以上に与えられるものがあるのです。バンサンさんの自在な線が描く世界は何て美しいのか、まるで描かれたもの全てが動き出してしまうのではないかと思ってしまうのです。此方の『あめの ひの ピクニック』では、明日のピクニックのためにとわくわくしながら昨晩からアーネストとセレスティーヌの二人でサンドイッチを用意する所から始まります。そんな二人の気持ちに反してピクニック当日は土砂降りの雨!さあ大変!悲しむセレスティーヌに、アーネストは大胆な提案を行います。それも“ふたりとも、きょうはとてもいいてんきだってつもりになるのさ”と。椅子の上でそっぽを向いていたセレスティーヌの目がパッと輝きます。そんなセレスティーヌの姿に釣られて浮かれるアーネスト。雨天決行のピクニック!二人はとても楽しそうです。此処は私の領土だと文句をつけてきた地主(森の持ち主)さえもテントの中に引き込んで一緒にお茶をしてしまう、お茶目な屈託のないアーネストとセレスティーヌが大好きです。そして最後は思いもよらない展開が待っています!!父親代わりのクマのアーネストオジサンと捨て子だったセレスティーヌの愉快で素敵な日常のお話がバンサンさんの豊かな色彩の淡い柔らかな水彩タッチで、確かな優しさと愛に溢れた眼差しで愛を物語っています。二人の素敵な、そしてかけがえのない絆の中に溢れるこのアーネストおじさんシリーズが微笑ましくまるで心に灯火を燃やしたように温かな気持ちに包まれます。本当にまた素敵な作品をありがとうございました!!