著者です。本書でやった実験は
・炸裂! 巨大エアバズーカ ・光るタクワン、光るタコ足
・ダイエットコーラで大噴火 ・電子レンジで火の玉誕生
・一瞬で凍る不思議な氷 ・爆裂燃焼!テルミット反応
・マッチで作る卓上ロケット ・掃除機で作るホバークラフト
・緑色の不気味焼きそばを作る ・備長炭でスターウォーズごっこ
・スルメイカは真夜中に光る ・使い捨てカイロで焼き芋
・豚足で骨格標本 ・ウーパールーパーを食べる
など24本とおまけが1本。以下で本書より
「爆裂燃焼! テルミット反応」
のサビの部分を読んでいただき、どういう本か見当をつけてくださいませ。
<(中略) 冬である。夜である。夜中である。寒風吹きすさぶ中、暴走族がスプレーで落書きしたコンクリートの橋脚の前で我々は途方に暮れていた。
「困りましたね」
困ったね。こんなに風が強いとはね。
実験をしていると実験とまったく関係のないトラブルでやむなく中断ということがよくある。しかし風が強くてライターの火が消えてしまって火が点かないなどと間抜けな事態、想定外だ。寒い。ガタガタ震えながら、コンビニにターボライターを買いに行ったカメラマンを待つ私と助手くんである。
「さっきはうまくいったんですけどね」
ありゃ室内だからな。
準備は簡単だった。酸化鉄の粉末とアルミ粉末を秤ではかって混ぜるだけ、薬品の入手に手間がかかるかと思ったが、業務用化学薬品店に電話して注文したら5000円ほどで全部揃った。だから準備はしたものの、あまりに呆気なくて本当に燃えるのか半信半疑だ。カメラマンのスタジオに行くとふとテーブルにガラスの分厚い灰皿。ちょっとの量なら大丈夫だろう、とスプーンひと匙ほどを灰皿に入れ、マグネシウムリボンを差し込んだ。
「あ、そんなことして、割れるんじゃないの?」
気づいたカメラマンが言う。割れるかな? まあでも、こんな汚れた灰皿、別にいいじゃないか。
「あれだぞ、それ、17世紀の中国製だぞ? 何でも鑑定団に出すんだぞ、来週」
どうしてそういうウソをつく。17世紀はともかく、そもそも耐熱ガラスだからな、そう簡単に割れないだろう?
マグネシウムリボンに火を点けた。爆竹の導火線よりもずっと速く燃え上がり、金属の混合粉末に火が移った。チリチリっと一呼吸置いてすぐにビカッと閃光、フラッシュが爆発したような真白な輝き!
(あ)
灰皿、こっぱみじんに吹き飛んだ。
「やっちゃったよ、この人。だから言ったじゃん」
ごめんなさい。
テルミット反応では反応後に溶けた鉄ができる。真っ赤に溶けた鉄を垂らされたら、灰皿は爆発するのだった。いや勉強になった。
さっそく空き缶に混合粉末をみっちり詰め、夜中、警察に見つかりそうにない川べりの公園に行った。なんといっても9・11である。こっそりじゃないとテロリストに間違えられるかもしれない。
カメラマンが戻ってきたので再開かと思いきや、
「これ、ガス切れじゃないの?」
マジかよ。わざわざ買ってきたターボライターなのに、誰も買わなかったせいか、ガスが抜けてしまっているのだ。
(帰りたい)
そう思った瞬間、マグネシウムが燃え始めた。混合粉末に火が移った。急いで離れる。
なんじゃこりゃ! すさまじい火柱が上がり、まばゆさに目が眩んだ。熱風が頬に当たる。目立ち過ぎだろう、これ! 警察大丈夫か? シャワーのように上から炎が降り注ぐ。まるで火山である。花火のドラゴンなんて目じゃない。やばい、やばい、これはやばい! ……助かった。強烈な閃光は数秒で収まり、火花はあっという間に消えてしまったのだ。ほんとにすぐに反応が終わってしまう。こうなるとガッカリである。最初だけ調子がいいお笑いみたいなもので、何とも座りが悪い。
恐る恐る燃え跡に近づくとフライパンは熱でねじれて底に穴が空き、溶けた鉄がコンクリートの上に流れ出ていた。さすが2200度。たしかにこれは鉄骨が溶けたかもしれない。真っ赤な液体の鉄が風にブルブル震え、溶鉱炉のようだ。
「あったけえ〜よ」
溶けた鉄に手をかざし、しばしの暖をとった我々なのだ。>
この時の映像はYOUTUBEで配信。興味ある方はご参照を。フライパンが溶けてる。今さらながらバカだと思った。
THERMITE ! 〜溶解! テルミット反応〜
http://www.youtube.com/watch?v=vETQ-hvnSoY
↓こちらもよろしく
大人の怪しい実験室〜都市伝説の検証