この作品は森崎東監督の演出の手腕というよりは、夏目雅子の魅力によって評価される作品だと思う。この作品の2年後にこの世を去る夏目雅子が何かに憑かれたように二人の女を演じ分け、誰もがその魅力に惹きこまれたと言っても過言ではない。
一方、森崎東監督の演出はこの作品だからという特筆すべきところはないものの、今までの森崎喜劇の演出を踏襲する手堅いものだった(特に音楽の使い方は、必要に主題曲「アゲイン」のインストが劇中にやたらと流れてチョッとしつこい)。だから、この作品どれだけ夏目雅子の魅力に引っ張られているかがわかる。
猫のように自由気ままな真由美と東京での生活に疲れ故郷の盛岡で結婚することを決めた実里の二人を夏目雅子が絶妙に演じ分け、真由美では自由奔放な魅力を出し、実里はもの哀しい魅力がにじみ出る。真由美が温泉宿で、浴衣で踊るシーンは何ともセクシーで可愛い魅力でいっぱいだった。
また、時代屋の商売について「私たち優しいのか、残酷なのか」という骨董品を生かす優しさと無理やり生かす残酷さを語る夏目雅子のその言葉も何とも切なく感慨深い。
その他、脇を固める大坂志郎、津川雅彦、名古屋章、平田満、趙方豪など演技は、それぞれのエピソードを持って登場する。それが主題に絡みながら展開するところが面白い。
松竹作品というより日活ロマンポルノっぽい男と女の愛と性を題材にしているが、重くもなく、いやらしくもないのは夏目雅子の魅力のおかげか。
とにかく、夏目雅子を堪能するにはこの作品は、はずせないでしょう。