この作品、オープニングでグッと惹きつけられる。お遍路さんが持つ鈴の音を背景にママに家を出た理由を語る手紙の朗読、岸田今日子の不安げな顔の挿入。そして、引き戸が開かれると美しい田んぼの緑がまるで一枚の絵のように写し出される。ここまででも、十分堪能できる。その後によしだたくろうの「今日まで そして明日から」が流れる初々しい中高橋洋子が登場する。このオープニングには完全に魅了された。
ママと少女との築いてきた家庭環境をあまり語ることなく、四国を巡礼する少女と自然を絡み合わせて彼女の成長を描く前半は秀逸。この前半部分は圧倒的に日本の自然美を映像でみせつけてくれる。単に風景だけをみせるのではなく、野宿をする高橋洋子の顔に蛾がとまり、まるで涙のようにみせる小粋な映像なども含まれていて面白い。
そして、後半旅一座との生活(座長を演じるこの頃の三国連太郎は息子の佐藤浩市そっくりなのも印象的)、生き倒れになって男(高橋悦史)に助けられるくだりが盛り込まれ、少女の成長が自然との関わりだけでなく、人との出会いの中で描かれるようになる。そんな成長を優しいまなざしで見守るように観ることができるのも演出の妙なのだろうか。
少ししか出ていないが、秋吉久美子の存在も重要で魅力的。旅に出ていないと自分が彼女のようになっていたとの語りだけで、十分伝わってくるのも少女の旅を観てきたためか(秋吉の境遇はほとんど語っていない)。
本当に言葉少なくして重いテーマを語っている70年代を代表する素晴らしい作品だ。