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単なる公告漫画の枠を越え、「字がうまくなれば幸せになれる」という今なら小ばかにされてしまうようなことを平気でやってのけてしまう彼女には、今この時代に失われつつある、「一本芯の通った強さ」を見つけることができるかもしれません。
かくいう私は日ペンの会員ではないけれど、あのころはよく美子ちゃんを見つけては、「まーた同じこと言ってるよ」とぶつぶつ言いながらそれでも読んでしまう私がいました。
あなたの知ってる美子ちゃんは何代目でしょうね。
70年代前半から始まり、99年にいったん幕を閉じる。
その間の時代の移り変わりが、美子ちゃんマンガを懐かしく
読みながら、きちんとわかるような作りになっているのが
本書の面白さだと思う。少女漫画からオタク文化の到来、
そしてワープロ、パソコン出現に美子ちゃんがどうしたか等々。
初代から4代目までの作家のマンガを多数掲載し、なおかつ
鋭くユニークな分析が軽い文体で書かれている。
日ペンの美子ちゃんといえば思い出す「顔写真付き広告の変遷(?)」
にもきちんとページを割いて触れていて、個人的には
そこがもっとも面白かった。
しかし、まさか「美子ちゃん」の本が出るとは思わなかったので
正直に言えば驚いた。それだけでもすごいことだ。
やられた!という衝撃に近い。ぜひ一読をオススメしたい。
中村うさぎの短いエッセイも久しぶりに良かった。
ペン字検定合格のための自宅学習講座の広告漫画なだけに、9コマの漫画には必ず「バインダー式の教材が」「一日20分の勉強で」「一級合格者の4割が日ペン出身」と煽りが入れられ、「綺麗な字でモテモテ」などのオチがつく。パソコンが普及した今こそ連載を再開してほしい作品である。
ようは通販みたいなもので、本質的にはジャパネットや深夜の通販番組なんかと変わらないのだけど、それゆえに面白く、人気の秘密は、深夜に外人がマッスル系新商品を宣伝している通販番組をみてしまう感覚に似ているのかもしれない。内容はお決まりで、よくよく考えるとたいして面白くないような気がするのだけど、引き込まれてしまうのだ。
また1972年から1999年まで4代にも渡って作者=キャラクターを変えながら続いた「美子ちゃん」には、大河ドラマ的な壮大さを感じすらしてしまう。
当時の漫画を4代のキャラクター順にフルカラー掲載し、漫画と漫画の間をキャラクター分析や作者のインタビューなどで埋めている。
もちろん、リアルタイムで「美子ちゃん」を読んでいた人は違う感想をもつのだと思うけれど、知らなかった人でもそれなりに楽しめるのは、漫画自体よりも、漫画を取り巻く状況そのものが奇妙で面白いことを示しているように感じる。ペン字検定というメジャーとはいい難い検定の講座を広告するために少女漫画に27年間も代を変えてまで漫画を載せていた。なんだかわからないけど、すごい。
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