しりあがり寿さんという漫画家は、ストレートすぎる作品を描く作家という印象を持っています。
たよりなげな描線の人物アップから、一転して俯瞰の風景を大ゴマで見せられたりすると、面白がるとか、魅了されるとかいう感覚を超えての感情的なシンパシーを要求されている気がして、なんとなく居心地が悪く感じてしまい、好きではあるけれどあまり読んでいなかった作家でした。
その作家性と、3.11以降、というテーマが実に合っているな、というのが最初の感想です。これまで感じていた居心地の悪さが落ち着く場所を得たようにストンと収まってくれました。
この時期にこのテーマで描こうと考えたこと自体にも価値があるとは思いますが、それだけでは勿論なく「あの日から」の天災への不安と人災への不満、無責任な情報への失望、それらを希望へのシンパシーとしてきちんとうまく昇華している佳作揃いです。
しりあがりさんは決して皮相的でも風刺的でもなく、ストレートに震災と原発問題について感じたままを描いているのだと思います。ひねりがあるようでない、それを真正面から受け取れるかどうかは単純に作風の好き嫌いが出ると思います。その判断は読んでからでいい、まず読んでみる価値はあると思います。