語り手の巡谷は日田とルームシェアをしている。彼女らは高校の同級生。仲が良かったわけではないが、なぜか一緒に暮らすことになった。
この日田、ものすごい妄想癖。自分は獣臭いと思い込み、人づきあいが極端に苦手。一度巡谷に誘われてコンパにいったのだが、緊張のあまり、酒も飲んでないのにゲロを吐いたという。近所の煙突から排出されるダイオキシンが潜在的な悪を引き出すのだと信じ込んでいる。さらにさらに、処女の彼女、ホームレスを犯す夢までみたり。とにかく、素晴らしき、日田ワールド。
脳味噌をぶちまけたような表現。これって、金原ひとみや川上未映子も
似たところがあるけれど、でも比にならない。飲み込まれてしまう。
さるきちは、がつーんと頭を殴られたような衝撃を受け、アドレナリンが放出し、眠気が一気に覚めた。
本書の盛り上がり方はとても書きモノとは思えない。何が起こるかわからない、ドキドキ感、ヒヤヒヤ感。さるきち息を呑む。まるでホラー映画を見ているような。そんなスリリングを味わうことができる。
巡谷も相当おかしい。彼女はおっぱいになりたいと思っているのだ。
そんな、奇妙な二人だけど、でもなんだか他人事とは思えないのはなぜだろう。共感できてしまうのだ。きっと、さるきちにも通じるモノがあるからなのだろう。限りなく刺激的な一冊でした。本谷有希子、改めて好きになりました。