この巻に収められる9話で、「物語」は新しい展開に向かいます。 いわゆる「転」ですから、今までとはガラリと変化します。
しかし、そこに至る各キャラの気持ちの揺れ動く様は、今まで丁寧に描写されたものが、積み重ねられているので、昨今のご都合主義的な
急展開とは、一線を画します。
この回でも、Aパート終盤に青の子の回想シーンが入りますが、「その時の笑顔とダブった。」というモノローグを生かすためには、
必要な場面でもあります。
そして、雨に煙るなか、海人を遠望しつつ、「私の好きな人だ・・。」という青の子のモノローグがどれだけの決意を秘めた言葉であったかを、
我々はBパートで思い知るのです。
互いが涙を押し隠している三人を上から俯瞰するカットで捉えたシーンは、アニメを超えた名演出ですよ!(号泣)
ラブコメの真髄は、「すれ違い」にあるわけですが、不自然にまで「すれ違い」続けさせるようなことせず、ここで「告白」させる辺りにも
巧者ならではの妙味と感服いたしました。
まったく、ここまで「わかってらっしゃる」展開を見せられては、「眼福」の一語につきます。
過ぎし日は取り戻せぬまでも、今の「時」を生きる子らが眩しく見える世代に至って、この作品に巡り会えた幸福を感じずにはいられません。