今のところアスペルガー症候群を理解するにおいて、最も公正で最先端の本である。しかも廉価である。
アスペルガー症候群の理解には、本書と、東京都自閉症協会が発行する小冊子があれば、充分である。
むしろ、他の本で余計な知識を入れないほうが有用かもしれない。
著者は昭和大学で大人の発達障害者のデイケア(コミュニティづくりといったほうが良いかもしれない)を
初めており、これは極めて珍しい。頭が下がる。
誤解も未だに多いアスペルガー症候群だが、 そのあたりもきちんと押さえてある。
・すべてをアスペルガー症候群のせいにするのは間違いである。
・自分に都合の良い用に解釈して(アスペルガーは天才などの言説を)主張するには間違いである。
・精神科では客観的な検査方法が全くない。
・会わないで判断する精神科医やカウンセラーのセカンドオピニオンはなんの意味もない。
・アスペルガー症候群を診断するには、丹念に子供の頃のエピソードを聞きとって、特徴的な症状を確認するしか無い。
(逆に言うと、生育歴も知らないのに「あの容疑者はアスペルガー症候群かもしれない」などと、本で発言してしまう
元家裁調査官の女子大教授などは言語道断ということです)
・自閉症やアスペルガーの権威という機関にも心無い発言をするものがいる。
(これは、本書収録の当事者の娘さんの発言・要は精神科医は相性で選ぶが良いということである)
最後にひとつだけ苦言。タイトルの『あの人はなぜ相手の気持ちがわからないのか―もしかしてアスペル ガー症候群!? 』は、
非常に良くない。
凡百の発達障害バブルによって出版された自己判断本や、売らんかな本についているタイトルと非常に類似しているのである。