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この教科書は法律と犯罪、人間関係、経済、コミューン(自治体)、社会保障というセクターに分かれています。
この本の最大の特徴は「あなた」という視点にたって書かれていることだと思います。
法律の話での、あなたは○○歳になったら○○が出来ます、という紹介をするのもそうですし、経済のセクターは
実際の子ども達の経済(お小遣い)の話から入ります。また、「課題」として「あなたはどう考えますか?」という
問題提起が非常に多く入っています。実際の授業では毎授業ディベートが行なわれるのでしょう。
「あなたと他の人々」というセクターがあるのですからうらやましいです。
また、具体的な犯罪→裁判の流れを追ってみたり、麻薬の話、性の話など、全て生徒に身近な、具体的なところから
入って、その後に説明をしたり、議論をさせたりする、という流れなので、とてもわかりやすく、問題意識を持たされます。
中学生へのアンケート結果や、色々な統計の結果などもたくさん載せられ、スウェーデンの社会福祉の現状を
知りたい方にもお勧めだと思います。特に、大きな裁量権がある「コミューン」の仕組みについて一章割いて
くれていますし、例えばスウェーデンの犯罪者ケアーに関する市民の実名の意見を掲載したところでは、
ある男性が「犯罪者についてあれこれ言うのは全くスウェーデン的」と言っていたり、別の人は
具体的な「スウェーデン的」提案をしていたりと、実際スウェーデンの人が社会福祉国家をどう思っているのか、
どうしてその体制をとっているのか、具体的に見ることができます。
私自身、いろいろ考えさせられそうです。
教育や福祉に興味がある人、スウェーデンに興味がある人、教師・親である人など、どんな人にもお勧めです。
いろいろなところで絶賛されているのも当然です。
日本の中学校で教えている「公民」という教科では、どちらかといえば政治や経済、社会の「枠組み」ばかりを指導し、それを丸暗記させる。これに対し、福祉国家で知られるスウェーデンでは、政治や経済、地域共同体といったなかで自分はどこに位置付けされ、どのような役割を果たし、さらに自分は他者に対して何ができるかを指導している。それは、日本の教育が「どんなことを知っているか」を重んじ、米国では「どんなことができるか」を重視するのに対し、スウェーデンでは「どんな人であるか」を大切にしていると読み取れる。日本人にとっては、とても新鮮な視点だ。
さすがに中学教科書をそのまま翻訳しているため、文章はわかりやすく、写真やイラスト、図表なども豊富で、もし自分が生徒の立場であればとても親しみやすい。機会があれば、この教科書を参考に私たちが暮らしている地域、さらには日本の社会をモデルに「新しい教科書」を作ってみたくなる。そんな一冊だ。
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