この本を読んだとき、私も母が倒れ、半年後には病院を出て介護生活が始まる予定でした。それだけに、とても身近な話として読んだのですが、参考になる部分の多さもさることながら、文章のよさに圧倒されました。ハウツー本としても非常に内容の濃い本ですが、それ以前にルポルタージュとしてすぐれていると思います。
話を聞き集め取材をしながらすすんで体験もし、そして一貫した問題意識をもって熱心に語り続ける、その真摯なスタンスが、とても印象に残ります。
硬すぎもせず砕けすぎもしない平易でバランスの取れた文章はとにかく読みやすく、明瞭に正確に率直に語ろうとする著者の人柄を感じさせます。
問題は山積しているし、大変なことだけれど、何とかなりますから大丈夫。そんな励ましが行間から聞こえてくるような本です。
ちなみに、私の母は退院前に病院内で人生を終えました。介護生活に向けて心の準備をしかけていたそのときの戸惑いが、この本の印象とともに今でも鮮明に残っています。