人生は不連続のドラマである。故に、誰にも語るに足る日々がある。長寿社会は、人々に、その語るに足る日々を文字にし、本にする時間を与える社会だ。生涯現役もいいが、現役を退いて来し方を振り返り、確かめ、伝える作業をするのもいい。
そういう時代にこの本は実にふさわしい。まことに用に徹していて役立つからである。
語るに足る日々があったとしてもそれを文字や本に定着するのはなかなか難しい。本書の著者は、その手伝いを本業のレパートリーの一つにしているという。いわゆる「ゴーストライター」である。その呼称は、何となく後ろめたく感じられるせいか、そのことを前面に出して言う人は少ない。著者は、その弊を破って本書でその内実を明かしている。そのために本書は、著者の「自分史」のようになっていて親しめる。
また著者は、普通の人が書いた原稿を整理し、形(本など)にする仕事、あるいはその原稿の内容と質、レベルによって一般書に推薦できる場合は出版社に企画提案して上梓を手伝う仕事をもしているという。それらの豊富な体験から、自分史を書き、努力や研究のことを本にする過程での機微を語りつくしている。
著者にして、亡き母の俳句集を作れなかった、という。思い立ったら始めねばならないのだ。本書を手にして自らの、あるいは周辺の方々の生涯を本に形作る作業を始めよう。