甘ったるい邦題にだまされてはなりません。この作品は、週末、気楽に見て、心地よい涙を流してカタルシスを味わえる類の映画ではありません。ストーリーそのものは、孤独な人間同士のふれあいとして淡々と進んでいきます。しかし、この映画には、主人公ハンナの「秘密」という、とてつもない爆弾が潜んでいます。彼女の告白はいかなる同情も、慰めも受け付けない衝撃的なもの(例え薄々予想できようと)であり、それを聞くことは、大変な苦痛を伴います。彼女はまさに言葉で触れてはならないことを語るのであり、それでもすべてを語ってはいないのです。私は、正直、胸が引き裂かれそうな、ほとんど吐き気を伴うほどの悲しみと憤りを味わいました。
しかし、その彼女の「秘密」ゆえにこそ、映画としての問題が生じているように思われます。彼女の苦悩はあまりにも大きすぎて、生半可な救いの言葉も癒しの手も差し伸べられないように感じるのです。いかなる救済もありえないようにすら思えます。彼女に近づく男も確かに辛い経験を味わっていますが、彼女の苦しみの前には、それでも矮小に思え、役不足に感じるのです。「秘密」の重さと展開されるドラマとのアンバランスを解決できぬまま、映画はやりきれない思いを残し終わってしまいます。
にもかかわらず、これは多くの人が見なければならない映画であり、彼女の「秘密」は我々が、人間として直面しなければならない「秘密」です。人によっては、トラウマ的な記憶すら残しうる危険な映画です。しかし、それでもあなたが人類に絶望するか、希望を持ち続けるか真摯に考えたいなら、その判断の踏み絵となりうる映画(=「秘密」)なのです。