全九編、いずれも東京近郊と思しき街が舞台。連作ではありませんが「路線バス」をキーワードにゆるくつながっているような短編集です。
主人公はそこで暮らす老若男女さまざま。彼らの暮らしに潜む喜怒哀楽を、沢木氏らしい冷静でどこか温かい筆致ですくい上げます。
それにしても、平易な文章、意外性のある展開、想像力を刺激する間、メリハリの効いた構成、ピタッと決まった表題。文句なしに巧い!です。
職業作家の作品としか思えません。沢木氏、なぜいままで小説を書かなかったのか、、、。どこか昭和の一流の大衆作家が書いたような匂いがします。
逆にこれだけ達者な小説を読まされると、今までのルポルタージュはもしかして創作入ってる?といささか不安になりました、、、、。ま、入っててもいいんだけど、ね。