仕事上の必要があって手にとってみた。
上司の心得を見開きで101のトピックに仕立てて解説する体裁なので、
どこから読んでも読みやすい。
目次だけ見て、気になるところだけを拾うような読み方ができる。
逆にいえば、本書全体を通したマネジメント論、というものは見えにくい。
多分に経験論的であり、精神論的である。
内容には特に反対すべきこともなく、
たしかに「こういう上司がいたらいいだろうな」というような上司像である。
そして、ここに書かれた上司像は著者の嶋津氏自身である。
だからこそ、あまり役に立たない。
上司はみな、わかってはいてもなかなか実践できないのである。
研修やセミナーをくどいほど受けて、それでも実際にはうまくできない。
だから昨今は、上司の人間性に立脚するのではなく、
科学的に、具体的な行動のコントロールとしてマネジメントスキルを訓練しよう、
という流れが主流である。
嶋津氏は「上司は自分のスゴさをアピールするな」という。
しかしこの本で著者がしていることは、嶋津氏自身がいかに優れた上司であるか、
ということのアピールである。
読者の「上司」としてこの本を書いたわけではないだろうから別にかまわないのだが、
これでは、嶋津氏のように飛び切り優れた資質の人はともかく、
ごく普通のマネージャの悩みにはきっと答えられない。
やや昔の本だが國分康孝氏の「上司のための心理学」のほうをお勧めする。
専門の学者が書いたものにしては読みやすく、理論体系も理解しやすい。