45歳の平凡なサラリーマン藤巻さんが、応援団出身の荒川社長により、あすなろ大学応援団の廃部を阻止するための刺客として大学に送られ、応援団長として奮闘する。があらすじでしょうか。藤巻さんは最初、サラリーマンの出世を天秤にかけていやいやながら応援団に所属するのですが、OBとの触れ合い、やる気のない大学生などなどの触れ合いによって、見事に応援団は体育会の花として返り咲きます。伏線には家族の再生、世代間の交流、ジェンダーなど、さまざまな要素が込められているところはストーリーテラーとして泣かせの部分もふんだんにこめられており、市井の人を描かしたら右に出るものはない重松清ならでは。普段はえらそうな態度で藤巻さんらを厳しく指導するOBたちも、実はサラリーマンとして苦労している話が見え隠れするなど、読み手の世代によっては、父の背中がかいま見えるのではないでしょうか。頑張っている日本のおじさんたちにエールを送る、そんな作品です。